世代間の価値観の違いを踏まえてマネジメントするための上司のセルフチェック12項目

ケータイショップの店長とその店長を束ねる中間管理職の方々の平均年齢は
20代後半から30代後半が中心かと思います。
2000年以降の混沌とした社会を思春期の頃から客観視し、
リーマンショックに東日本大震災はじめとする大災害と
なかなか激しい時代背景の中で成長されてきているのです。

彼ら彼女らの仕事に関するキーワードは
数年先の夢や希望よりも、”今”を大切にする現実的思考。
意味の無い行動よりも、目的と効果効率を重視。
そして、できる限り無駄を排除。

人間関係は
“縦のつながり”よりも
“横のつながり”を大切にする傾向が強い
と言われています。

一方、この方々の上司と言えば
90年代に社会人としてサクセス!(死語)してきた
40代から50代~60代が中心となりますよね。
私自身もここに該当致します。

高度成長からバブル絶頂、
そしてバブル崩壊、超実力主義の時代
キーワードは
“24時間戦えますか?”
(今では、ただの徹夜自慢、リゲインを瓶ごと飲み込んで下さい)

“オレは、ワタシは、自分自身で考えてやりきってきたんだ”
(お決まりの武勇伝)

“出る杭は打たれるけど遠慮なく出てやる”
(ライバルより目立ってナンボ!)

“術は先輩の背中から盗め!”
(野心と自主的行動が大好物)

“手法より根性精神論”
(我慢して信じれば必ず通ずる、最後は神頼み!)

そして人間関係はというと
“横よりも縦のつながり”を大切にすると言われています。

この2つの世代には価値観における隔たりがあります。
ただ、この隔たりを上手に埋めることなく
上司である上の世代が、部下である下の世代に
自分の仕事の価値観を結果として
押し付ける形でマネジメントしてしまい、
下の世代のモチベーションが低下、
その悪影響が、さらにその部下や店舗スタッフまで伝染してしていく。

こうやって部下をつぶしてしまう上司の“悪行”が後を絶たない。
“悪行”という表現をお許し下さいませ。
ご本人曰く“悪”だとは、全く思ってもなく、
会社のため、部下のために“善かれ”と思ってやられている訳ですが、
下の世代には“善”ではなく“悪”と映る、、、
そんな事件が今日も現場で起こっているのです。

何がいちばん恐ろしいかというと、

“俺は違うよ、下の若い世代のことを理解している!”
“私はちゃんと共感しているから大丈夫です!”

これは、ご本人に自覚が無いケースです。

そこでセルフチェックを用意してみました。
下記質問に対して該当するものが多ければ多いほど危険です!
(これまでの私の経験知を参考しているものですのでご了承ください)

もし部下との間に十分な信頼関係があれば、
「あなたからみて、オレはどう?」と直接聞いてみるのも良いかもしれません。

①会議や面談で、部下が結果や経緯の説明を話し終える前に話し出してしまう
 ⇒話を聴かない上司、聴けない上司として 部下は本音を言わなくなります。
“イラッ”としても最後まで聴くこと。でも、しんどいのもわかります。

②思い通りの結果や行動になってない時は、怒りの感情に言葉を乗せて発してしまう
 ⇒部下は、本質を理解することなく「上司が“また”怒ってるから」という理由で行動してしまいます。
ちなみにこの怒りの感情も、「私は平常心で言ってるんだぁ!」と実はご本人に自覚が無い場合もあるので、要注意です。私も過去いっぱい失敗しています。怒り感情のあとは、苦い遺恨だけ。深呼吸が大切です。

③“ちゃんと指導している”と言いながら、運営の具体的な戦術は部下に提案させる
 ⇒ショップの戦術は、ユーザー、キャリア、メーカー、代理店、そして政府、と
  いろんなところが複雑に絡み合い刻一刻と変化します。
一緒に考えるという姿勢と、一筋縄ではいかぬことへの共感が、部下からの信頼につながります。

④トイレ掃除だけはやたらと具体的手法に拘って徹底的にやらせる。
 ⇒トイレ掃除がダメという意味ではありません!
これを具体的に伝えるのであれば他のことも具体的に、ということです。

⑤店舗朝礼に参加した時は、具体策はないまま「みんなで頑張ろう!」と発破をかけるだけ
 ⇒その際、スタッフの表情をよく見てみて下さい。
彼ら彼女達に響く具体策が無いと“死んだ魚の目”のゾンビ表情で返事しているはずです。
ちなみにこのゾンビ顔に
「なんで朝からそんな表情なんだ!仕事なんだから前向きにやる気を出しなさい!」
とでも言っていたら、もう末期です。

⑥気付いたら「オレがオマエくらいの歳の時は・・・」と言いながら
 実際に教えているのは「我慢だの耐え忍んだだの」の根性精神論
 ⇒部下からの返し「え~!そうだったんですかぁ?」
「わぁ、さすがですねぇ!」は、 “超リップサービス”です。
逆に感謝してあげてください。

⑦気付いたら飲み会で説教モードに入っている
 ⇒どんなに美味いご馳走であっても説教になると、味が無くなります。
説教モードになってしまったと自身で察知した時は即止めましょう。
何も伝わってないことが多く返ってムダです。
ただ、これもご本人に自覚が無いことも多々あります。
5分でも一方的に話していたら要注意かもです。

⑧新人の育成を語ったら「四の五の言わせず黙ってやらせる!」
 ⇒“まずは言われたことだけやりなさい”では未来の御社を支える社員達は、その前に卒業していきます。

⑨機嫌がいい時は「どうだ?うまくいっただろ?(オレの指南のお陰で)」
 ⇒部下に手柄は渡してあげて下さい!上司であるあなたの給与が高い意味はそういうことです。
自分が手柄上げるのではなく、部下に手柄を上げさせることが、リーダーの育成に繋がります。

⑩実態として有給休暇をなかなか取らせていない
 ⇒店頭現場も間接部門も有給休暇がしっかりと取れる会社は、
いまのご時世、入社応募で選ばれるための”キラりと光る”条件です。

⑪“サービス早め出勤”に“サービス残業”や“お酒の飲み方”などを強要する。
 ⇒“上司が残ってるのに、まさか先に帰るのか?”
“上司が焼酎なんだから普通オマエも焼酎だろ!”。
説明不要。信頼されない上司の条件が出そろいました!

⑫部下の結婚披露宴には「ぜひ、ご出席、頂き、たい、ですぅ・・・」と言わせるほどのプレッシャー
 ⇒おお、パワハラの極地!ダイバーシティが叫ばれる今のご時世、
結婚という人生のイベントの在り方も多種多様。
そもそもプライベート領域への干渉です。ご注意ください!!

いかがでしたか?

5個以上該当した方は、
診察してもらうべきです。
医者ではなく部下に。。

20代後半から30代後半世代の方々は
こういう上司に対しては、「はい、わかりました」としか言いません。
理由は、“ムダ”だからです。
そう、上司の“こんな仕事の価値観”に真向から意見することほど
ムダなことはないと思うからです。

そして結論は、“ビズリーチッ”&“デューダ子”
80年90年代風でいうと“とらばーゆ”です。

まさに裸の王様になってしまう訳です。
そして「最近の若いヤツは・・・」
「やっぱり叩き直してやらなくては!」とボヤき、
人手不足からの負のスパイラルに陥ってしまう。

ケータイショップの運営は人が生命線です。
差別化は“どんな人たちが店をやっているか”であり、
それ以上でも以下でもありません。
人を大事にできる会社であることが必要最低限の条件だと思います。

“そんなことオマエに言われなくてもわかっとるわぁっ!”
と言われる経営者の方々、エラそうことを並べて申し訳ありません!
人を大事にする意味について点検したり考え直すことも大切です。
社内に該当する方がいれば、
部下のモチベーションを下げてしまうマネジメントをしていないか?
次の世代の中間管理職をつぶしてしまうマネジメントをしていないか?
点検し、問題あれば是正して頂きたいと思います。

偉くなればなるほど、注意や指導してくれる人は居なくなるので・・・。

新人であっても、個人の考えや意見に対して傾聴があり尊重され
必要に応じて社会で生きていく術が育てられる。
その育成は、考え方と手法、そして精神論もバランスよく付与され
日々の業務は、最新の効率的な手法を一緒に考え、教えられ、
なるべく個別の家庭環境や事情に応じた勤務条件が公平に用意され
残業は効率よく適切に
そして休暇は約束通りに履行される。

そういう安定した職場環境の日常が繰り返される中に
目標と達成の喜びがあり、日々成長があり、
権限委譲から責任と自主性が養われ、
そして平等に評価の機会が与えられ
公平な評価判断がなされる。

こういう中から“横のつながり”に
“縦のつながり”が掛け算で合わさって
真の信頼関係が構築されるんですね。

そんな組織作りを目指して頂きたいと思います。

最後に、40代から50代、その上の方々の考えが
全てダメだと言っている訳ではありません!
大切なこともたくさんあります。
それこそが、その方の価値観だと思うのですが、
問題はそれを後輩達にどう伝えるか?が、一番大事なところです。

生まれ育った時代背景や環境が違うだけで
こんなにも仕事に対する価値観、変わるんです。
うまく調和するチームワークができることをお祈りしております!

<レスポンドニュース(2019年5月30日配信)を改編>

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