蔦屋家電について書かれた記事から
ケータイショップの接客販売のあり方を考えてみたいと思います。
大量の家電を所狭しと並べて、安売りの値札をあちこちに貼り付けるような、従来型の家電店のスタイルとは無縁だ。開業時のチラシ配布も行わず、メーカーからの派遣店員も受け入れなかった。その代わり、プロのカメラマンや料理研究家などを従業員として雇い、売り場の「コンシェルジュ」として、丁寧な説明を心がける・・・
2017.8.1 日経ビジネスONLINE「蔦屋家電」
私も実際に次のような衝動買いをしてしまう体験をしました。
家電量販店で高圧洗浄機の体験販売に遭遇。
真夏の蒸し暑い店舗前の駐車スペースに
家庭用大型プールとテントを広げて
メーカーからの販売員が数名、実演&体験を促している光景です。
体験展示品は4機種ほど用意されており、
それぞれ高圧で噴射される水に
家族連れ客が子供と一緒に
驚きと喜びの悲鳴を大きく上げながら
販売員の話に聞き入ってると
次々に別の客が入り交じる・・・。
一般”サクラ”観客が用意された
テレビショッピングさながらの状況に、
斯く言う私も入り交じり、ほぼ衝動買いをしてしまった次第です。
その時の接客上手な販売員の率直な感想が印象に残りました。
購入手続きの際に
「やっぱり体験すると説得力抜群ですね」と私がコメントすると
「そうなんです!実演販売すると実際恐ろしく売れるんです!」と
嬉しそうにそして何よりも満足そうな感想が返ってきました。
実際に何台売れているのかはわかりませんが、
売れてない訳がない一目瞭然な状況に
”コト体験”の提唱がまさに当てはまる実例です。
スマホ、ネットを中心とした通信販売が急激に成長しているなかで
対面販売である小売業の在り方に変化が求められる時代。
とかくケータイ業界も
”端末ゼロ円”というインパクトある販売の仕方が
販売規制自由化をきっかけに普及率拡大と業界の成長を
促してきたことは言うまでもありませんが、
店頭での接客販売スタイルに大きな変化が求められていることは事実です。
私が現在の仕事に携わり始めた
1999年頃のケータイショップ店長向け研修では
既に「業界はこの先、淘汰が始まる。価格勝負ではダメ。接客での説明が重要だ」
なんて、エラそうに言っておりました。
(もちろん当時務めていた研修会社が提唱していた内容です)
ただ、当時の業界は価格勝負全盛期であり、
研修でお伝えしても「理想はわかるけど実態はね、、、」といった感じでありました。
4Gが中心のスマホになり、5Gが広がる現在。
タブレットの併用に自宅の光回線、コンテンツ活用
電子マネー決済、ポイント活用、食品、電気ガス・・・
急激に拡大した商材アイテム。
短絡的な販売手法では成果に繋がりにくい状況で
(店頭で成約しても、後日キャンセルや説明不足のクレームが多い現状など)
いかに効率よく”老若男女それぞれに解り易く提案するか?”
やはり対面販売による”人力”がキーになるのではないでしょうか。
いまの商材やサービスを”あたりまえ”にするためには
先述の高圧洗浄機体験コーナーのような成果と”やりがい”を
スタッフ自身が体験体感し、”接客”にさらに磨きをかけ
実現してもらいたい。そう願うばかりです。
ちなみに一般スタッフの方々から聞こえてくる声は
「価値提案なんて結局うまくいかない」
「商材が多過ぎて時間がかかり過ぎる」
「求められていないことを無理矢理売っているようで心苦しい」
「喜ばれない接客をしているようでモチベーションが下がる」
という声もあれば
「自分自身の評価が明確でモチベーションに繋がる」
「売れたら自分が認められたような気がしてやる気になる」
「短絡的であっても売れたら自分の実績になるから嬉しい」
という声もありました。
上段の声は
「目の前でお客さまに満足して頂きたい」
「フロアを待たせないように回転させたい」という想いから出ているのでしょう。
下段の声は
「自己目標達成」「承認欲求」「結果重視」という点で満足していると予測できます。
結論スタッフの悩みは
『やっぱ客は価値より価格を求めてんじゃね?』
『価値はわかるけど現実的な価値体験接客のやり方を教えてくれ!』
というところでしょうか。
これらの課題に必要なキーワードは下記の通り
「自店の客層に合った現実的な価値体験接客手法の探求」
実際に来店される自店のお客さま層をタイプ別に洗い出しをして
A:どうすれば話を聞いてくれるか?
B:どうすれば実機を触ってくれるか?
C:どうすればコンテンツを体験してくれるか?
D:どんなきっかけでお客さまの環境現状を教えてくれるか?
E:どうお伝えすればお客さまの不安を取り除けるか?
F:お客さまからのマイナスワードにどう切り返せばよいか?
皆さまの店舗はいかがですか?
<レスポンドニュース(2017年8月7日配信)を改編>